夏休みシーズンといえば各地で開催される夏フェス。最近ではその規模や開催地も多くの音楽イベントが開催されています。僕も連休をとって毎年のように観に行っているフェスがありますが、なんと今年はフェス会場で観覧中に現地で収録中の会社からお仕事の問い合わせがありました。
映像業者に多いライン録音のトラブル
業務委託で音楽や舞台系の映像編集なども多く手掛けていますが、結構多いのが音楽ホールの天吊りマイクから調整室を経てもらうライン音声。こちらをカメラのインプットやリニアPCMレコーダーなどに録音するのですが、この録音に問題があるケースがたまに発生します。
その中でも多いのが、3点吊マイクだけの音声をもらっているはずなのに、司会用のマイク音声が混入してしまったり、ミキサー内のバスやアウトの出力設定をミスっているケース。リハがほとんどなく一発収録の案件の場合、音声モニター確認を怠るとそのトラブルに気付かずに本来確保しなければならない音声を取り漏らすミスが発生します。
学校主催の公演の場合、不慣れなホール担当がミキサー宅での基本的な設定ミスすることは珍しくありません。
波形が潰れていないのに音割れ?
今回相談のあった案件はデータ上レベルオーバーしていないのに「音割れ」していたというものです。通常の音割れは入力(録音)レベルオーバーで下記の画像のように音の波形が天井をついてしまいます。
しかし相談のあった音源は下記の画像の通り、全然-15db以下に収まっていました。
業務用録音とあって、録音レベルは抑えた小音量で収録されています。スタジオでのデータチェックの際に音がおかしいことに気付いたようです。細かくモニターチェックしてみると、DJ+MC2名という演者の録音で、全体的にオケが軽く音割れ。MCが「ガナッた」数か所は顕著な音割れという内容でした。
会場でレベルメータだけを見た感じでは気づかないでしょうね。おそらく、ミュージシャンの送り側で既に割れていたか、PA卓内での設定ミスなどが考えられます。音割れの程度もさほど酷くなかったので、別のAIR音源とミックスすれば問題ないレベルへの修復はできました。素人のMP3録音と違い、業務クラスのレコーダーで収録された非圧縮の音源はやはり修復精度も高い。
ワンマン公演と違うフェスならではのトラブル
大規模な音楽フェスだと大小複数のステージに何百のアーティストが出演することもざらです。ビッグネームのアーティストでもセッティングに1時間以上とれるケース少なく、(下手すると音楽ノンストップで入れ替わるケースもあり)
ワンマン公演とちがい、入念なチェックはしづらいのでしょうね。タイトなスケジュールの中まるでライブハウスのような環境だと、こういった収録ミスの確率も上がるようです。映像とか録音業者など、収録関連の業者も複数出入りする環境は大変そうです。
作品としてリリースしないテレビや簡易映像の音声
色んなケースはあると思いますが、音楽番組のテレビ放送などは、アーティストが発売するライブ作品(ライブアルバムやDVDなど)と違い、楽器ごとにマルチレコーディングしない番組が多いと思います。各楽器(もしくはカラオケ)から拾った音声をライン録音(これは全部の楽器がミックスされている)し、この音声を軸に会場のエア音源と組み合わせています。
素人のカラオケ公演でもマイクとカラオケだけを残響のないライン音源で録音し、会場で拾った(ホールの場合は反響音が録音される)エア音源とミックスすればLRの2chでも音楽番組レベルのクオリティは確保できます。
ある程度反響のあるスタジオやホールならリヴァーブなどをかけなくても、ナチュラルな響きが加わりそれなりの音源に仕上がります。
ライン音声が使えないと、とたんに素人が収録したビデオみたいな音質になってしまうこともあり、プロの映像業者にとって致命的ですね。
今後取引がなくなってしまいそうな、表に出せない重篤なミス案件を数多く扱っています。上記例のようなライブ音源の扱いは当方は最も得意とする領域です。最悪、エア音源しか使えないというトラブルもお気軽にご相談、お問合せください。
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