風切音だらけの船上インタビューの音声修復はほぼ100点
とある映像制作会社から表題の通り、「船上で漁師のインタビューをした」動画カットに混入した風切音を軽減したいとの相談がありいつもの通り無料トライアルを承りました。
私が整音担当として参加した劇場公開映画「74歳のペリカンはパンを売る」というドキュメンタリー作品でも締めくくりに近い重要なカットでの風切音がありました。
このようなケースで補正に使用しているiZotope rx7 Advancedでは軽度な風切音ならワンタッチで軽減できるモジュール「De-wind」が搭載されています。
これでざっくりと全体の処理をし、風が強くインタビューの声に影響が強い部分は別途細かな軽減処理をピンポイントで加えていきます。
完璧な修復サンプル?もなぜか採用されなかった謎...
一般的な映像作品のインタビューとして使用には充分耐えうる改善処理を施しサンプルをすぐに提案。しかも先方が出してきた予算を下回っての提案(割と処理工数が少なかったのもあるので)にも関わらず採用いただけませんでした。
①専門のプロにお願いしても求めるクオリティに届かなかった
②インタビューを撮り直しする方向で決着した
上記がキャンセルの理由でした。
トライアル申し込み時の要望では「先方が自身で改善を試みたサンプルを超えるもの」とあり、それに比べれば別格の仕上がりだったので売上確定と思っていのですがとっても残念です。
〜御社のブログみましたよ、〇〇列島まで撮り直しに行くのですか?〜
おそらく、RXを導入するにあたり実音源での改善結果を試聴するため当サービスの良心的な無料トライアルが悪用された可能性が高いですね。まあ、何にしても自身で身銭を切って新しいアプリケーションを覚えるのはプロとして当然ですから、導入のきっかけとなったのなら人様のお役に立てたのでしょう。本当に良かったです。
しかし至急対応でお願いするのは紳士協定に反すると僕は思います。
アプリ導入の前にも試すこと沢山あります。インタビューのビデオは喋っている人の声をはっきりさせるため、あえてモノで編集する場合も多いのですが、音源はステレオのままでした。LchとRchのそれぞれに混入した「風切音」ちゃんとチェックしましたか?
片方のチャンネルだけを使用するだけで、風切音のボリュームは1/3くらいになりましたよ。
こういった部分でもちょっとひどいな、と思った案件でした。一般向けの動画制作会社は高いレベルを必要としない場合もあり、基本スキルが怪しい業者も存在するようです。
音声でお困りの案件はできうる限りクイックな対応を心がけています。キャンセルも承知の上です。しかし明らかに初めから採用するつもりのない悪意のあるトライアルはお控えください。心よりお願いします。
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