クラシックギター演奏のノイズ除去してもオーダーを頂けませんでした
ZOOMのHシリーズなど、音楽専用ビデオカメラは高感度なコンデンサマイクが搭載され、高い音圧で録音できるため、ご自身のライブ演奏を収録するために利用している人も少なくありません。
しかし収録感度が良い分、プレイバックしてみると雑音が多くて、イメージと大きく違う悩みは付き物です。
「空調の音」は収録時に気づかずに拾ってしまい、そんなノイズ除去のご依頼を頂きました。
クラシックギターのソロプレイ演奏はとても繊細
ノイズ除去の相談をいただいたのは、飲食店を貸切ったイベントで演奏された「クラシック・ギター」のソロプレイをビデオ収録したもの。長方形店内のテラス側がステージ、客席を挟んで後ろに厨房があり、その位置にカメラがセッティングされていました。
4〜5メートルのオフマイク収録ということです。当然ですが、ステージからの距離の兼ね合いで、客席や厨房の物音も拾ってしまいます。セッティング位置(=収録マイク位置)がちょうどエアコンの直下だったのか、終始「サー」というが混入しており、その音を綺麗にしたい
(ビデオ音源で演奏されているギタリストから)
・そんな問題を回避するセッティングのコツ
当サービスはこういった状態の音声(ビデオ動画や各種レコーダーで収録されたもの)をオンラインでお預かりしたり、DVDやCDをお送り頂いて、「音」を改善しています。
無料トライアルが利用できるため、あらかじめ音源の一部を改善。効果を試してから採用を決定いただきます。そのため、クライアントの期待値を超えられない場合や、お見積額が予算に見合わない場合、残念ながらキャンセルになる場合もあります。
ノイズが取れたのにオーダーがいただけなかった理由
「サー」というエアコンのノイズを軽減することは難しくありません。音楽の録音ではなくナレーションなら、問題ないレベルまで綺麗になります。しかしこのケースは「部屋鳴り」も楽器の鳴りと捉えるクラシックギター。ノイズ処理が繊細な音色に影響を与えてしまう課題が露呈しました。
ノイズを削ったときに、最も影響を与えるのは「空気感」。削れば削るほど、部屋の残響が消えナチュラルなフィーリングが失われます。幾つかのアプローチで処理し提案を行うも、お客様に納得出来る「音」は作れずオーダーを頂けませんでした。ノイズをカットして空気感が薄れる分、リヴァーブを薄く足して馴染ませたりするのですが、部屋鳴りを含んだ楽器の音色変化に妥協ができないとのことでした。
オーダー頂けなかったのは残念ですが、アコースティック楽器のソロ演奏のノイズ除去の難しさを改めて確認することができ、いい勉強になりました。
繊細なソロ楽器にはオンマイク収録が必須
YouTube動画ならとても簡単
これからは音も選択する時代です。
退屈な固定カメラの動画をミュージック・クリップに
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オフマイクによる楽器収録はその場所の「あらゆる音」を含みます。ロックバンドは大きな出音に、小さな物音はかき消されあまり問題になりませんが、繊細なアコースティック楽器のソロ演奏は特に難しい。
アコースティック楽器の収録で「綺麗に録音したい」でも「会場の響きも必要だ」というこだわりがある場合は、必ずオンマイク収録を並行して行うことをお勧めします。
ビデオカメラしか録音機器がない場合は外付けマイクを使用、なるべく楽器に近い場所で収録する(演奏とマイクの間にお客様を挟まない)。もしくはビデオの他にリニアPCMレコーダー(ICレコーダー)を演奏者の近くにセッティングするなど。
ピアノやギターなどのソロ楽器は音量も小さくオフマイク収録だけだと、会場内の雑音に負けてしまうのです。瞬間的な「ガサっ」という音はかなり軽減できるのですが、連続的に話す客席のおばちゃんの雑談(笑)などを改善するのは物理的にやはり難しいのです。
オンマイク収録しておけば名門ホールの残響だって後付けできる
オンマイク収録しておけば、後からごくわずかにリヴァーブ(残響)を付け足すだけでもいい感じになります。音楽専用ホールでない場所での収録の場合は、そこでオフマイクを取るより、よほどグレードの高い音に仕上げることができます。最近のリヴァーブは実際のホールをエミュレートした高品質なものも多く、素晴らしいものが多いです。
録り直しができない貴重な演奏をベターな音源に
ハイブリッド・サウンドリフォームは本格的なライブレコーディングをしなくても、ビデオなどで収録された音源を「普通に音楽として楽しめる音」仕上げる軸でサービスを提供しています。
ノイズ除去だけにとどまらず、リヴァーブなどの後付けも行うことも日常です。「そんなの反則だよ」と、思われるかもしれませんが、擬似的であれなんであれ、二度と撮り直しができない演奏をベターな音源として残す。