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ピンマイク収録トラブル修復事例①プロ編

先日、映像制作会社よりご依頼頂いた音質改善を紹介します。企業の動画コンテンツニーズは高まっています。多数のコンテンツが制作されている中、収録時の音声トラブルも後を絶ちません。

インタビュー動画

某企業のサービスを利用した顧客に対してのインタビュー動画。インタビュアーから成約までのエピソードやサービス開始が始まっての対応、納品後の満足度などを「事例」として紹介するものだ。

■音声トラブルが起きた収録時の状況

 

セッティングは固定カメラ×1、ピンマイク×2

インタビュアー1名(ピンマイク)、お客様夫婦(ご主人様のみピンマイクを着用)

 

音声エディター

SoundRefomer
T.YAMAKAWA

「音楽・音声」のリフォームサービスを手掛けてます。音でお悩みの様々なクライアントからお仕事を受注する傍ら、映画作品の整音、音楽作品のミックスマスタリングや舞台映像編集を手掛けています。個人利用はもちろん、有名YouTuber事務所をはじめ、大手企業、国立・有名私立大学などともお取引しています。

なんらかの原因でお客様側のマイクから音声収録が漏れ、業務用カメラのオフショット音声もないままの素材を想像してみてください。インタビュアーの音声はベストな音、お客様はインタビュアーのマイクで拾ったオフマイク(マイクから遠い位置で収録されて音声)音声が、同じトラックに収録されているというもの。

 

お客様の声は部屋の反響音も多く拾った遠く感じる音声。同じ画面で会話する音声としては音質が違いすぎて違和感を感じてしまいます。この音声の修復がご依頼でした。

 

どうやって改善に臨んだか

お客様の音声をオンマイクに近づけるエディットは、そこまで難しくありません。ノイズ処理を丁寧に行ってから、オーディオリペアツールで反響を軽減させ、細かなイコライジングとコンプレッション処理でかなりオンマイクの雰囲気に近づけることができます。

オフマイクの改善事例

3人の会話はクロスするという問題

上記の改善事例のように単独MCでは処理も簡単なのですが、インタビュアーを絡めての会話は必ず、音声が交差する部分が多く見受けられます。

特に「購入には迷ったんですよ〜」(ええ、ええ、そうなんですね〜)というインタビュアー側の相槌が非常に多く、難易度の高い編集となりました。

この難問をどう音声編集したかの手順を公開

手順①ひとまず元音声ファイルをコピー

音質が違う複数名の会話を収録された素材を綺麗にトリミングすることは不可能と判断。ひとまず元音声をコピーし2つのファイルをMIXする方向で作業を開始しました。

①ファイル1=元音声(インタビュアーの声を生かす)

②ファイル2=付加音声(お客様の声をブースト処理)

手順③付加音声ファイルのお客様声をブースト処理
プラグインエフェクト

 オフマイクで収録されたお客様の声をオンマイクで録音したインタビュアーの声に近づけるべく、②て処理されたオーディオデータにプラグイン処理をかけていきます。マッチングイコライザーを使用したかったので、Ozone7というマスタリングソフトを利用し、処理をします。

 

声の聞きやすい参考になる音源はFMラジオです。某人気DJがYouTubeに公開していた番外編の収録ソースを元に、マッチングEQ処理。コンプレッサーとTRANSIENT MASTERで音圧と音像処理を加えます。全体を圧縮することで声の密度が上がり、太くなりました。

しかしこの処理で問題が発生

 遠い音像であるお客様の声を太くブーストすることはできたが、深いコンプレッション(圧縮)をかけたため、残響成分もかなり持ち上がってしまう。これは元素材の残響成分をある程度カットする必要があります。

エコー成分の軽減

②で利用したRX-10に戻り、De-Reverveという残響成分を軽減させるプラグインを使用。こちらは元音質への影響が強いため、かけすぎないよう薄く削る処理を何度か繰り返します。この処理をギリギリの妥協点で終えたのち、もう一度③の処理を実行します。

手順④DAWで2つのファイルをMIX、ボリュームのオートメーションを書き込む

 元音声にもある程度のノイズ処理などを行い、2つのファイルをDAWでミックスしていきます。綺麗なインタビュアーの声をが入った元データをと、ブーストしたお客様の音声をトラックをまとめ、会話に応じてボリュームコントロールをします。会話の流れをつかみながら、フェーダーをリアルタイムに記録し、後ほどそのカーブを細かく調整していきます。

 DAW オートメーション

 最終調整のトータルEQやリミッターを加えてなんとか納品。この手の案件は、撮り直しができない状況から納期に間に合わず、切羽詰まった状況で依頼いただくことが多いです。完全に自然に仕上げるには、妥協点を見つけるための何度かの確認作業が必須なのですが、一発納品しました。

修正前データとの完成度を比較し、動画コンテンツのクライアントさんが最終ジャッジをされることでしょう。

 

限られた時間で納品しても採用されない時がありますが、プロとしてベストに仕上げたいもの。不採用の素材も少し経って別のアプローチを試してみたり、サウンド・リフォーマーの研究は続きます(笑)。

プロの映像制作の音声トラブルは、HybridSoundReform.comへご相談ください。HybridSoundReform.comは音質改善に特化したサービス。撮り直しが効かない収録ミス等、リカバリー案件も喜んでお引き受けします。緊急対応可。トライアル無料なので、無理そうな改善案件もリスクなしでお試しいただけます。

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